2025年「老後不安」
少し前まで、老後不安といえば「お金」の話が中心でした。
年金はいくらもらえるのか、貯金はいくら必要なのか。
テレビや雑誌では「老後2,000万円問題」が繰り返し取り上げられ、不安は数字として示されていました。
ところが2025年の今、老後不安の質は明らかに変わってきています。
不安の正体は、単純な金額不足だけではなくなってきたように思います。
もちろん、年金制度や医療・介護制度への不安がなくなったわけではありません。
むしろ、不安は大きくなっていると感じる場面もあります。
ただ、多くの人が実際に感じているものの中に、
「将来がどうなるのか、その全体像が見えない」という感覚があり、それが以前より強くなってきているのではないでしょうか。
何歳まで働くのが普通なのか。
健康でいられる前提をどこまで置いていいのか。
家族に頼れるのか、頼っていいのか。
制度そのものよりも、「自分の場合はどう判断すればいいのか」が分からない。
この“判断に迷い続ける感覚”こそが、今の老後不安の中心にあるように感じます。
情報は以前よりもはるかに増えました。
ライフプラン、年金シミュレーション、投資商品、保険、介護サービス、各種セミナー。
選択肢は広がった一方で、「これが正解です」と教えてくれるものはありません。
しかも、その判断は一度で終わるものではなく、状況に応じて何度も見直す必要があります。
ひと昔前の老後設計は、ある意味ではシンプルでした。
定年まで働き、年金を受け取り、その後は穏やかに暮らす。
このモデルが揺らいだ結果、自由度は上がりましたが、安心感は減ったとも言えそうです。
最近は、老後を「ずっと先の話」と感じていない人も増えています。
50代はもちろん、40代、場合によっては30代でも、
親の介護や健康の問題をきっかけに、老後が急に現実味を帯びてきます。
老後不安は、将来の話というより、「今どう備えるか」という現在進行形の課題になっています。
そんな一年を振り返ると、2025年の老後不安はとても静かだと感じます。
大きな声で嘆く人は減り、
多くの人が淡々と情報を集め、比較し、考え続けています。
不安そのものは消えていませんが、言葉にしにくくなり、表に出にくくなっているのかもしれません。
老後不安が変わってきたということは、
「何をどれだけ持つか」よりも、
「どう選び、どう調整し続けるか」が問われる時代になった、ということだと思います。
年末は、一度立ち止まって考えるのにちょうどいい時期です。
この一年で、自分は将来に向けて何を決め、何を後回しにしてきたのか。
不安を完全になくすことはできませんが、
その正体を言葉にするだけでも、向き合い方は少し変わってくるのではないでしょうか。
老後不安は、すぐに消えるものではありません。
だからこそ、必要なときに、考えるきっかけや整理の材料を持っておくことが大切なのだと思います。
筆者 山口
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